りりい捕物帖/阪井マチ
事の質問はおそらく茄子だけではなく、その後ろから一緒に侵入していた私たちにも向けられていたのだろう。茄子は一切構わずに、見る間に警官隊を一掃した。
茄子は吊るされている人たちを見回した。そしてその中から顔がぼろぼろになったスニーカーブルースと全身タイツのユーゲントを見つけると、その拘束を解き、頬をやさしく叩いた。するとみるみるうちにかれらの血色が戻り、なんとそれが依頼者の両親だったのである。
悄然として独り自宅に残っていた依頼者は、茄子が連れてきた二人を見て撃ち抜かれたような表情になった。その後は家族三人で大泣きしながら再会を喜んでいた。茄子はそれを見届けてからそっと家を出て、また
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