りりい捕物帖/阪井マチ
めたらどうなるか、知らないで来たんでしょう。半端な聞きかじりはやばいよ。ほら、見ていなさい。そう言われてそのまま二人で半時間待っていると、知らない人が部屋に入ってきた。茄子の人を見つけると慎重に近付き、ややしてから声を掛けた。お願いです、りりいさま。私の貯金を持ち出して失踪した両親を、どうか家に連れて帰ってきてはいただけないでしょうか。
茄子の人がゆっくりと腰を上げた。何も言わず、目の前に立つ者を一瞥もせず、しばらくそのまま立ち尽くしていたが、やがてそっと歩き始めて部屋から出て行った。慌てて依頼者が追い掛けていった。ほら、私たちも行くよ。噂好きに促され、私たちはその二人の後ろをこっそりつい
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