灰燼から這い出る/幽霊
前方から歩いてくる少女が明らかに美しい。夏の光が清水のような少女を必ず美しくする、と知った。初めて見る少女。なぜかあの少女、あの前から歩み寄ってくる美しい少女が僕に抱きついてくるのではないか、と思った。これはなんとなくの予感というよりも確信だ。得体の知れない確信。それはまるで夢を見ているときに、なぜか知っている予備知識のような得体の知れない確信。そうして僕はあの透き通った清水のような少女に抱き締められたときにすべてが洗われると思った。嬉しくなった。
美しい少女は通り過ぎた。幸せだ。今の僕は気分が良い!。今の僕は美しい少女の方を未練がましく振り返ることもなく歩き進めている。僕は笑みを浮かべ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)