すすき野原で見た狐/板谷みきょう
お天道様に向かって手を合わせました。
「神様、仏様、生きとし生ける者すべての、いのちが、あなたのお望みに叶いますよう、何卒、何卒。そして、いつか報われますように、誠に、誠に。おん願い、申し上げ奉ります。」
山や野や川を、のんびりと歩き回り、畑仕事をしている村人に逢っては、「神さまでも、仏さんでも、鰯の頭でも、信心というものが有り難いもんなんだ。あのジャガタラも、いつか、実を結び、私達の暮らしの、救いに、つながるはずだ。」
そう言いながら、施しを受けては、一日の糧を求め、いつもジャガタラを植えた社の回りに作った畑の世話をして、暮らしておりました。
与一に見間違う程の狐の仕草には、村の者は
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