すすき野原で見た狐/板谷みきょう
 
課に、木の葉集めと狐の化けるのを眺めることが加わったのです。
 「不思議なこともござっしゃる。こんなにもたくさんの木の葉が、一体どうしてあるのじゃろ。」
狐は、小さく繰り返し呟いておりましたが、やがて村の社に住む変わり者の与一が、運んで来るのを見掛ける様になりました。

初めのうちは、与一が持って来た葉には、目もくれなかった狐も、やがて、与一が運んで来る様々な木の葉を使って、前回りや後ろ回りをしながら、化けてみるようになりました。

 そんなある日、狐がとうとう人間の姿に、化けられる日が来たのです。しかし、喜びもつかの間、化けられる人間の姿は与一の姿に限られていて、それ以外の人間にはど
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(1)