灰色の鬼/板谷みきょう
に座っているのです。
灰色の鬼は考えました。
三日三晩眠らず、風に乗った雲が空の裂け目に、幾度も吸い込まれていきました。
栗の木が気付いたのは、その時です。
「この鬼、真剣なんだ…。」
四日目の陽が昇ると、急に灰色の鬼は、すっくと立ちあがり、わらぶきの家のあの娘に会うため、栗の木の下から、ふもとの人間の世界に向かって、歩き出しました。
「危ない、危ない…。」
突然、石ころが鬼を止めようとしたので
鬼は、つまずいて転んでしまいました。
それを見た何も知らないひばりが、笑いながら飛んでいきます。
鬼は、むっくりと起き上がると、石ころの声も聞かずに、又、歩き出しました。
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