もみじ/板谷みきょう
 


その様子を、黙って見ていたみみずくが、厳かに語り出した。
『昔から、「翼のある者は、鳳凰となりて、足を持つものは、麒麟となりて、その他の者は、龍となりて、せせらぎの峰に立つべし。」代々、そう語り継がれている。』
あちこちから溜息が漏れてくる中、青蛇は、息せき切ってみみずくに言った。
「それじゃあ、俺がせせらぎの峰に立つには、龍になれば良いんだな。どうすれば俺は、龍になれるんだ。」
『龍…か。龍になるには、まず、この「ぬらくら川」を下って、「荒れ狂いの大海」で、怒涛の中、七つの冬を越せば良い、と聞くが…。』
みみずくの言葉も終わらぬうちに、青蛇は聞くが早いか、眼の前の「ぬらくら川
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