屋根の上に寝転んで 〜かみさまへの手紙〜/服部 剛
 
ように
ふとんの中で眠りに落ちて
幼き頃へと・・・
赤子の頃へと・・・
戻ってゆく・・・
母の胎のなかで安らう
生まれる前の寝顔に
遥かな昔から静かな響きで届いてくる
ひとつの声

魂に刻まれた約束の文字は炎の光となりて
今も闇に浮かんでいる

胸の奥に隠されたたんすの
無数の引き出しが
誰の手にも触れられずに開き始め
想い出の場面のモノクロ写真たちが
シャボン玉の中に守られて
ふわりふわりと浮いている

現実の日常で出逢う人々の
寂しげな表情の裏に隠れているあなたは
ふと僕をみつめる人の瞳の内に
なにげなく語りかけられる友の声の中に
救いを求めて水
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