詩の日めくり 二〇一六年七月一日─三十一日/田中宏輔
間的な魅力にもあふれた方だった。とりわけ、伊藤比呂美さんは、人間の器が違い過ぎる。巨大だ。ぼくの書いているものが弱弱しい糸で縒り合わせられたものであることが実感された。生の朗読会、行ってみるものだなって思った。
きのう、モームの『サミング・アップ』を読んでいて、それがあまりに自然に自分の胸に入ってくる文章なので驚いた。きょう、ジェフリーに、「さいきん、何を読んでいるの?」と訊かれ、即座に、「モーム。」と答えた。「あとSFと。」と付け足した。「ルイーズは、げらげら笑っちゃった。」と言った。
ううん。撚り合わせる糸を太くしなければならない。55歳。だいぶ経験もしていると思うのだけれど、
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