詩の日めくり 二〇一六年七月一日─三十一日/田中宏輔
受け取り合う
真偽もまた
二〇一六年七月十三日 「顔面破裂病」
通勤電車に乗っていると
前の座席に坐ってる
女子高校生の顔が
ピクピクしだした
いそいで
ぼくは
傘をひらいた
ぼくの顔が破裂した
ぼくはゆっくりと
傘をしぼませて
傘の内側にくっついてる
顔の骨や目ん玉や鼻や唇や
ほっぺたの肉など
みんなあつめて
顔のあったところでくっつけていった
女子高校生の顔面のピクピクは
顔面破裂病の初期症状を
はっきりと示していた
彼女は
おぞましいものを見るような目つきで
ぼくの顔をちらちらと見ていた
ぼくもむかしはそうだったんだよ
ひざ
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