きりんのかそう/帆場蔵人
を伏せて、去っていく、私もそうであった
きりんはきりんの居場所にいたら良かったのか
今ではきりんの体はあのビルの壁に写りこみ
親子連れや観光客が記念撮影をしているのだ
あのきりんを責めるひとはもうなくあのきりんは忘却されて
このきりんは遥か昔からそうであったように認められている
きりんの魂はどこに行ったのだろう、ときりんの足元で
シュラスコを売るブラジルから来た男に尋ねると肩を竦め
串に刺したシュラスコと釣り銭を差し出し、
「クニでオフクロさんが首を長くして待ってるだろう、と
言われるんだ。きりんはあんたのオフクロさんなのか?
違うだろ、あんたのオフクロでもな
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