きりんのかそう/帆場蔵人
もないのになに気にするの」
そう言って首をとんとん、と叩いて笑った
その流暢な日本語に喉が震えて私は黙った
きりんのかげろうシュラスコは喉を焼いた
帰りの雑踏のなかで首の短い動物と私はたくさん
すれ違った、特急電車の車掌に切符をみせながら
きりんの魂まで、というと車掌は首をさすって
あなた、本当にきりんを見たのですか
と、問うから僕は、いいえ、と
(A.はっきり言ってわかりません!
でも、首と頭の長さは、だいたい、同じらしいよ)
だいたい、ちょうどいい長さの答えできりんを諦め、笑った
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