詩の日めくり 二〇一五年十月一日─三十一日/田中宏輔
思われる。どだろね。
思い出してる思い出が自分のものではないとわかったときの驚き。
海がずっとつづいているように見えるのは、ずっとつづいているものが海だからだ。
肯定して、すぐにそれを打ち消す。その繰り返しがぼくだと思うのだけれど、あまりに頻繁に繰り返しているために、繰り返していること自体が自覚できない。なんだろう。誤まったアルファベットのキーに指が触れて、瞬時にその文字を消去するようなことを、無意識のうちに行っているようなものだろうか。
呼ばれているから行くのか。行くから呼ばれるのだ。人生をいつくしむ才能だけはあるようだ。「なんか降ってきたで。」雨は平等に降らない。ひ
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