ピクニックへの餞/道草次郎
うことさえ厭わなかった。
余りに無邪気な、そして余りに残酷な標を未来へと杭打った日々であった。
あれは失われた季節。
白く、あわく、そして儚い時代だったのかも知れない。
そして、今ぼくは、自分のこころの雨戸を閉めてしまっている。思えば数え切れぬほどの気散じがあるにもかかわらず、ぼくはぼくという殻に閉じこもって余りに久しい。
だが、忘れてはならないことがある。それは、自然のこと、万象のことである。植物が辛抱強く根を張るように、ぼくは、時期を待っているのだ。そのことを忘れてしまってはならない。
遠い芽吹き、それを我がものとしないことだ。
こころというこころに生起する、様々
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