ピクニックへの餞/
道草次郎
様々の、うつくしいもののことを忘れてはならない。それは自分のものだけでなく、他のたくさんのこころ、自然、生活のうちにみなぎる力と同じものであるに違いないのだ。
ぼくは、今、こう希うほかは無い。
身を、この身から引き剥がすこと。それから、自分を一把の菜の花としそれを喜んで摘むこと。
今日吹いた春一番の荒風に恃み、ぼくは、いつまでも、そのようにしていたいと思っている。
春は近い。そのことを、忘れてはならない。
戻る
編
削
Point
(3)