自殺衝動/にょすけ
 
れた
 ら、さぞかし心地のよいことだろうよ。
 いつまでたっても、文字は化け物じみて
 画面の端をうごうごと蠢いている。ああ
 、息づいている。愛だとか、恋だとか。
  
 【蛍光灯】
  
 着信音が耳に入らぬよう、携帯電話の電源を切る。
 約束の地に君は居なくて、君の形に皺が寄ったシー
 ツをどうしても伸ばせなかった。手を添えた時の手
 の平の温度だけは、あの部屋に残っていて。ちかち
 かと切れそうになる蛍光灯が光る度に、修学旅行の
 集合写真を思い出す。捲られたページの端にいる君
 と、手を、繋ぐ妄想をしては。耳障りな着信音を思
 いだす。ぷるる、と音がなる度に
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