自殺衝動/にょすけ
 
度にそこは現実だ。ち
 かちかと光が切れる度にここは現実だ。君の居なく
 なった、誰にも変えられない現実そのものなのだ。
  
 【もしも僕たちがすべての元凶なのだとしたら】
  
 いっその事世界中の不幸がこの身に降り注げ
 と願った。明け方のまだ白み始めた空を眺め
 焼けただれた喉を抑えるように僕だけがこの
 世界で不幸なのだとうそぶいている。そうあ
 れば、大手を広げて弱き者を演じる事ができ
 そうすれば、なおそうすれば、こうして涙を
 流すことの理由にもなるだろうと。潰し損ね
 た空き缶はくずかごから溢れ、飲み干した酒
 はちっとも私を酔わすことはなく。もしも、
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