ついーと小詩集/道草次郎
 



「苔」

どれがどれよりどうだとか
誰かが誰よりうえだとか右ななめ下だとか
白鳥の群れの中の黒鳥だとか
早わらびの頃の森の匂いだとか
酩酊した人のもつ酒瓶の底に残るすこしのアルコオルだとか
そうゆうことはひとまず置こう
置いておこう
多弁が過ぎて花が咲いてしまう
石のようとは言わないけれど
せめて苔のように
苔のようにもったり陶然と


「成分」

99%の詩は
ぼくはとくべつなんだいッ
て言ってる
あとの0,9パーセントの詩は
剥離紙に包まれた1,2リットルの血液
そして残りは
鍬の柄を杖がわりにしてたたずむ農夫だ


「あんまない
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