ついーと小詩集/道草次郎
 
ない」

かかなけきゃ
いられない
そうしないと
あすがあすに
いてくれない
かけばそれでも
あすにすわってて
くれるのだ
それいがいに
かくどうきなど
あんまない


「月行き」

なにはともあれ
黒田三郎の
『小さなユリと』をひらこう
月の図書館へ飛んでいって
兎と
餅の搗き合いだ


「かつてぼくは」

かつてぼくは
星やとうぞくだった
水族館でもあった
ベートーヴェンだったりもした
きおくだったことすらあった
時には工事中だったことも

でもいまは
単なる原子の集合体だ
うまれちゃったから仕方ない
この一本の草はそれでも
一生懸命に
風の海をどこまでも泳いでいく


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