反射窓の印象/道草次郎
、先程はすみませんでした。うまく言えなくて…。ただ、ぼくも正直分からないんです。ぼく自身も自分の問題をどうにかできていませんし、だからなんだか、全然上手く言えなくて。でも、これだけは伝えたいです。ぼくがもし街でばったり息子さんにお会いしたらとしたら、きっと息子さんの素晴らしい所をさがすと思います。そんな人間が一人だけでも存在していることを、どうか息子さんに伝えて欲しいです」
女性はぼくの話を少しそわそわした様子で聞いていたが、話が終わると感謝の言葉を口にし、隣接する郵便局の方へと足早に歩いて行った。
ぼくは思った。自分は10年前、いや20年前とちっとも変わってはいない。今日は聴くことに
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