反射窓の印象/道草次郎
とに徹するはずだったのに、またこうして余計な事を言ってしまった。ぼくはこう願うしか無かった。どうかあの女性がすっかりぼくの言ったことなど忘れ、自身の内から沸き起こる何かに忠実であってくれることを。そして、色々なことが少しでも良い方向へすすんで行ってくれることを。
非常に離れたところにいるというのは、それは別に美しいことでも悲しことでもない。ただ単にそうであるからそうなのだ。
午後の日差しが田舎町の支所の二階の窓に反射して、なぜか、いつまでもまぶしかった。
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