反射窓の印象/道草次郎
 


と、ここまで話したら急に頭が真っ白になり掌に汗がぶわっと吹き出してきた。それを察した司会の人がさりげなくぼくの尻切れトンボになった話を受けとめ、無難に話をつなげてくれた。

ぼくは何だか苦しくて窓を開けて外の空気を吸いたかったが、もうじき会も終わるので我慢することにした。待っているあいだずっと手の震えが止まらなかった。先程の話のあいだ中ずっと高齢の女性は、ぼくのことをじっと見詰めていた。


会がお開きになると参加者は軽い挨拶を交わし帰って行った。ぼくはどうしても先程の高齢の女性に言いたいことがあり後を追い掛けた。女性は駐車場の入口の所で誰かを待っている様だった。

「さ、先
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