カスタマーサービス/中田満帆
するんだ。おれはずっとそいつを売って生計を立ててきた。でも、ヒモぐらしには厭気が差し、一日じゅうずっとかの女を愛撫するのに疲れてしまってた。カナエへの愛情はまだ残ってる。あるいは愛情の骸や灰はまだ。でも、おれだって36で、かの女と出逢ってから7年にもなろうとしてる。かの女は26だ。もうたくさんだった。かの女はなんども間男をつくったし、金のために年寄りに抱かれもした。そのたびにおれの心は千々にちぎれたし、火傷をするみたいなおもいだった。でも、かの女はなんどでも蘇った。おれのもとに帰ってきた。それはけっきょくおれしか、かの女の体液から麻薬を精製することができなかったし、顧客のリストを持ってなかったから
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