夜の夢の分裂、他三編/道草次郎
 

その人とは
他でもない私自身であり
あなた自身による私自身
つまり
鏡の森の
旅人に過ぎない


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{引用=「一つ星」

バケツの底の一つ星
海にゆられて漂って
目醒めたならば
島のへり
潮のフーガにこと寄せて
もったりと今
薔薇の謐然


「夜の海の分裂」

二つのものが一つところにあることを、たいてい人はいいます

そうしてからそれがあまり自覚されないうちに夜はあけて、いつもの朝はこぼれるように始まるわけです

夜のうちのどれもこれもが朝の女のひもなのですから、ある時のあるさまは、ある一定の角度をもった道徳心
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