詩の日めくり 二〇一四年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 

左の手の指の先の影かな
年に平均
5、6本かな
印刷所で
落ちる指は
ヒロくんはのたまわった
お父さんが
労災関係の弁護士で
そんなこと言ってた
アハッ
なつかしい声が過ぎてく
ぼくの
かわりばんこの
小枝
腕の
皮膚におしつけて
呪文をとなえる
ツバキの木だったかなあ
こするといいにおいがした
したかな
たぶん
こするといいにおいがした
まるで見てきたような嘘を
溜める

貯める
んんん
矯める
矯めるじゃ!
はた迷惑な電話に邪魔されて
無駄な
手足のように
はえてきて
どうして、舞姫は
ぼくがひとりで
金魚と遊んでいたこ
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