詩の日めくり 二〇一四年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 
たか忘れたけど。
きなこ。
稀な子。
「あっちゃん、好きやわあ。」
先生にそう言われて、とても恐縮したのだけれど
「ありがとうございます。」
という硬い口調でしか返答できない自分に、ちょっと傷つく。
自分でつけた傷で、鈍い痛みではあったのだけれど
生まれ持った性格に起因するものでもあるように思い
こころのなかで、しゅんとなった。
表情には出していなかったつもりだが、たぶん、出ていただろう。
もちろん
人間的に「好き」ってだけで
ぜんぜん恋愛対象じゃないけれど。
お互いにね、笑。
先生、ノンケだし。
60歳過ぎてるし、笑。
ぼくは、
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