詩の日めくり 二〇一四年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 

「この腐りかけの肉がええねん。」
「腐りかけの肉って、どういう意味やねん?」
「新鮮な肉の反対や。」
好きなこと言ってるなあって思った
その分厚い胸に頭をもたげて
話をしていた
「背中とか、頭とか
 さわられるのが好きやねん。」
「みんな、そうなんちゃう?」
おなかの肉をつまんだり
さすったりしながら
「こうして、さわってるのが好きかな。」
「ぼくはさわられるのが好きやし
 あっちゃんは、さわってるのが好きなんやから
 ちょうどええな。」
うん? 
そ?
そかな?
「そんなに、このおなかが好き?」
「好きかも。」
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