ラピスラズリのスケッチ、他/道草次郎
 
は地元の進学校を中退し、なぜかボランティア活動や陸上の審判の役割に精を出していた。アルバイトもしており、外国へ行きたそうだった。というか、行くことを想定していた。日本にはあまり関心が無いようだった。

また、別の違った一面もあった。ボランティア先では必ずと言って良いほど地元のテレビクルーや有名人と懇意になりたがり、一緒に写真を撮ってはそれを人に見せるのを恒例にしていた。スクラップブックをいつも持ち歩いていて、ぼくも見せて貰った。

彼はぼくという生温い風にビクともしない蒸気機関車みたいだった。黒い頑丈な鉄の塊が雪原を突進して行くように、彼はぼくを突進していった。

いかなる気分的な誘い
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