ラピスラズリのスケッチ、他/道草次郎
 
の瘴気を循環するCH4となりきるのだ。

なにか凄いことのような貌をいつもしているが、じつは周章狼狽によく似た粗忽者。寧ろ、ただ辺鄙な境涯の脇のドブ板の下のドブ。そこに棲みつく蛍光菌でさえ無い。それがおまえの血脈、おまえの石なのである。それを、知るがいい。


「太陽の匂いのする男」


彼は携帯電話を持っていなかった。いつも似たような洗い晒しのシャツを着ていて、独特の男っぽさがあった。まるで紫外線に焼かれたブータン人の青年のような風格を漂わせ、何処からか飄々と現われた。

陸上競技の実力者で県で何番目かの1500メートル走の記録保持者だった。だが、その事を鼻にかける気などさら
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