太陽はこんな俺も照らす/TAT
 
あった。当時俺は、激烈に安い千円ぐらいのラジコンを持っていた。ラジコンといっても有線な代物で、十センチぐらいのポルシェのバッタもんみたいな車(フロントガラスに目が描いてあって、しかもウインクしていた)のオモチャからケーブルが一メートルほど伸びていてキャラメルの箱ぐらいの大きさのリモコンに繋がっているのだ。んでそのリモコンで進んだり戻ったり、雑に動く訳である。今ならくれると言われても断る品だが、当時はまあ脳味噌の容量もそんな無かったので、家であぐらかいて一生懸命遊んでいた。そうしてある日、俺は思ったのだ。もっと縦横無尽にこのポルシェくんを隣の和室くらいまで走らせたい!と。そんな訳で、ケーブルをニッパ
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