ピーナッツバタートースト/ホロウ・シカエルボク
 
い出す。でもあの時は少しも不思議に思わなかった。

 二年くらいそんな日々が続いて、マリは客の一人だった男と付き合い始めた。ある日突然マリの家に呼ばれて出て行ったら、モデルみたいな綺麗な男が居て、よろしくと挨拶した。綺麗なだけでなんの特徴も無い男だった。少なくともあたしにとっては。
 「彼はとても優しいのよ。」
 マリは馬鹿みたいな顔でそんなことを言ってた。

 その年の冬、クリスマスやらニューイヤーやらであたしの勤めてる店は凄く忙しかった。おまけにベテランのウェイトレスが突然病気退職したせいで休みも取れなくなって、毎日十二時間働いては帰ってシャワーを浴びて眠り、起きては出かけてまた十
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