常にこえたい/道草次郎
んは、こんなぼくの手際と容量の悪さと計算能力の低さを認識していたが、一緒になってわからない難しいと言って最後には、道草さんが頑張ってくれたから出来た!と、(だってHさんが全部やってくれたのに)そう言ってハイタッチを求めてくれた。ぼくは汗をぬぐいながら笑顔で何だかわけも分からず、ハイタッチをした。
Hさんはとても優しく、イヤミひとついわず、飼っている老犬の為にすりこぎでドックフードを毎日すり潰す大変さの話ばかりをするような人である。いつも、明日もよろしくね、と言ってくれる。
ぼくは、世界とはこのようなものであると思う。
ぼくの欠損を人知れず補う人がいて、その人がぼくを生かす。という
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