常にこえたい/道草次郎
 
何を示しうるかなど犬も食わないのである。

要はぼくの心根の問題で、りっぱな人は自分がばかならばかだと泣いて、嬉しいことがあったらたくさんよろこぶものだ。心根だけは、ほんとうにそのにんげんの深いところにあるいちばん全うに輝くものである。

ぼくは知らねばならない。なにものにも影響されることのない境地のそこにある、そういう化石層の下の美しい地底湖のことを。

ほんとうに世間には飛蚊症みたいに気を散らすだけの滓がたくさんある。もちろん、この自分の頭蓋骨のなかにもふんだんにある。滓とそうでないものとを、注意深くより分けねば。

先に挙げたパイプ管の施行課題を一緒に取り組んだ初老のHさんは
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