常にこえたい/道草次郎
しまいには具合がわるくなり
貧血と頻脈と多汗に苛まれる。
道路の下には水道管が埋設され
空中には電線がはられ
さまざまな配線が至る所に正確に施されている。
それらは全て人間の手と頭脳の所産である。
民主主義国家に生活をしていて
そのことをわすれて生活するのは不可能だし
それをわすれて生きることは自分にはできない。
だからぼくは自分もちゃんとそれらのインフラ基盤に必要な技能と知識と、手際の良い手をみずからに課すし、それにすぐれた人に引け目を感じる。
しかし自分がやると何もかもうまくいかない。
人間である以上はできないことはないはずだと思い、それをしようとするものの、手
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