スノーディストピア 〜穢れた民の逝き道〜(短編小説)/月夜乃海花
熱い炉だけであった。
「僕は諦めませんから。」
ナディエは独り言のように呟き、雪炉に雪を投げ入れる。まるで今までの恨みを炉で融かすかのように。
「そうか。」
アルヴェには兄弟が居る。その中の末っ子がナディエと同い年であり、細くて千切れそうな身体をしていた。たまにその末っ子とナディエを重ねて見てしまうのだ。
ソルディモと言えど、子供まで労働をする必要はないのだ。一応、学校などの教育施設やソルディモが底のごみで創り上げた遊具のある公園。子供が遊べる場所は零ではなかった。
「お前は『遊びたい』って思わんのか?」
「思いません。遊びが嫌いですから。」
ナディエは実はソルディモの学校に通っ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)