スノーディストピア 〜穢れた民の逝き道〜(短編小説)/月夜乃海花
「ナディエ、またかよ。本当下手くそだな。」
雪炉の先輩、アルヴェはナディエが四歳の頃からなんやかんやで雪炉での面倒を見ている。初めは雪を持ってくるためのキャタピラすらまともに扱えず、キャタピラを壊すのはいつものことだった。それでも、涙を流しながら、
「もう一度だけやらせてください!」
と諦めることを知らないナディエの姿を見ていると放置できなくなっていた。
ナディエが八歳になり、やっと半人前程度になった。ただ、母の病状が悪化したことにより、始業時間への遅れが激しくなった。とはいえ、数秒であるが。ソルディモには僅かな時間さえ与えられないのだ。与えられるのは最低限の食料、服、そして大量の雪と熱い
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