スノーディストピア 〜穢れた民の逝き道〜(短編小説)/月夜乃海花
が集まる。
「可哀想に赤ん坊が泣いとるわ。」
ソルディモは時々電籠で降ろされる人々を受け入れる。それしか方法はないのだ。電籠で降ろされたものは登ることは出来ない。それが都市フリギスでの規則であった。ソルディモはこの母と赤ん坊の服装からすぐに上級の人間だと理解した。この「お嬢様と赤ん坊」を扱うのは正直面倒であった。普段なら電籠で降ろされるのは罪人や老いた一般民であるためであり、上級の人間が降ろされることなどほとんど無いのだ。
「どうすっべな。」
「とりあえず、アタシの家に匿うよ。」
「おめー、優しいなぁ。」
ソルディモたちはそれでも優しく出迎える。一方、何も知らぬまま育ち結婚し、子供を産
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