腕を伸ばした、指の先の距離で(ゴル投稿修正版)/高橋良幸
街中に溢れている
気だるさや
やるせなさや
無関心や
私には名付けられない誰かの表情
変わらないようにみえても
変わりつつあるのだ
忘れかけていた
足りないもの
オールドノーマルな
例えばライブハウスにあったような熱狂だけが
目の前から欠落しているようにみえた
新しい私たちは
両手を持ち上げて
ぐうっと大きく
腰や肩甲骨につらなるからだの
部分部分を
ストレッチさせていく
そうして整った準備運動の頃合いを見計らって
各々のからだに
角速度に変換可能なエネルギーをぎりっと貯め
コマのようにぐるっと回る
バランスを保つために広げた、
水平な腕の
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