Memory Trains?「切り離し」/SDGs
 
流線型の外車だ。私たちは出発した。快適に別府市内を抜け、宇佐方面に向かった。そのうち道は急にデコボコになり、サスペンションのやわらかいキャデラックは大きく左右に揺れた。しばらく走るとタクシーは急停車し、運転手がドアを開けて出て行った。ヘルメット姿の人と話している。戻ってきた。
「この先は工事中で、このキャデラックは車高が低く路面にお腹をこするので」
「それで?」
「すみませんがここまでにしてください」
そこからどうやって下関にたどり着いたのか。覚えていない。そういえばその後、誰もその話をしない。

「おばあちゃ〜ん」「おばあちゃ〜ん」
娘の叫び声が聞こえる。別府から乗った急行が小倉
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