ブナを植える/山人
 
した。当然である。ブナの稚樹より周りの雑草の方が大きいからである。それ以来、植え付けの時点で赤テープを巻いてから植え付ける習慣が始まった。
 昨年、新たに五十アールほどの荒れ地を地拵えし植え付けた。赤テープを巻き、湿気の多い、水が浮くような場所などにも精魂込めて植え付けた。一冬越し春になり、梅雨時期に一回、八月末に二回目と下草刈りを行った。目印を付けたブナ稚樹であっても、周りの草の成長が早いところは誤伐してしまうし、当然湿地のようなところに植え付けたブナはすでに枯れてしまっていた。それでも、しっかりと葉をつけて生きついてくれているブナも多くあった。

 十一月二十日、別な場所へ移動し、ふたた
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