書きたくても書けない腐れ物書きのひとりごと。/月夜乃海花
 
ても猫(にやあ)といひ
鳥を見せても猫(にやあ)だつた

最後に見せた鹿だけは
角によつぽど惹かれてか
何とも云はず 眺めてた

ほんにおまへもあの時は
此の世の光のたゞ中に立つて眺めてゐたつけが……


生ひ立ちの歌

I
    幼年時
私の上に降る雪は
真綿まわたのやうでありました

    少年時
私の上に降る雪は
霙みぞれのやうでありました

    十七―十九
私の上に降る雪は
霰あられのやうに散りました

    二十―二十二
私の上に降る雪は
雹ひようであるかと思はれた

    二十三
私の上に降る雪
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