さよなら、どうせだしね。/月夜乃海花
 
なかった。その涙の理由は後で知ってよく理解したよ。」
ああ、あの時のことか。成宮が私との付き合った記念日のことを忘れていたから泣いたあの日。本当は違う理由なのは内緒。記念日よりも大切なことを忘れられていたから。
ベッドの枕を持ち上げる。するとメモがまたしてもあった。

「僕は仕事で忙しくて、春香に構ってあげられなかった。本当に申し訳ないと思っている。ずっと仕事ばかりで春香のことが頭から抜けてたことさえあったんだ。それでも、春香なら受け入れてくれると思ってしまった。ベランダから春香を見たとき、びっくりしたし同時に何もかも察したよ。」
ベランダから、私を見た?どういう意味だろうか。なんだか嫌
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