神聖なる合コンの話 (序 その一)/道草次郎
ぼくだった。父が早くに死んだこともあり、地方ならではの隣近所との付き合いや家周りの雑事などは最低限こなしてきたものの、何らかの収入を得て一人前の暮らしをし、広い世界へ出ていこうとか、ましてや結婚しようなどとは考えられなかった。そういうものは自分とは縁の無いものだとずっと思っていた。なぜそう思うようになったかをここに記すには、かなり長い時間と労力と苦痛とが必要だが、仮にそれがなされたところで何かが明白になるという事はきっと無いだろう。考え得ることは考え尽くしたからそう言うのではなく、そもそもこうした事は何が原因だとはっきりと言える類の話ではないからだ。
岐路というものがあったとして、その岐路
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