フルートを吹く女 その他の人々/道草次郎
 
ばいい
そういう思想が
俺の肩には
生え揃って久しい



「古山の探検家」

輻輳(ふくそう)する羊歯類は
隕石の詩想だ
死んだ森は
完璧な平等をたもち
黒ずむ岩に座ると
深緑の観想が
後ろから抱き付いてくる
かつて展開した
図書室のジュラ紀は
今膨大となり
礁湖(ラグーン)の名残りの上に
後世(ごせ)の堆積燃料
つまりは私
が立っていることを識(し)るのだ



「学者」

ライフワークを妻に淹(い)れて貰い
書斎のジャングルで僕は朝の珈琲を{ルビ啜=すす
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