11月1日所感(つれづれ)/道草次郎
 
面へ落下し続けていて、その期間があまりに長いからそれを忘れているとも言える。従って死を忘れている事が、自分を画することの原因となり、その結果として自分の性向というものが、ひいては運命というものまでもが決まってきてしまうのだ。汝死を忘れるなかれ、とはよく言ったものである。




思い出すことにもそろそろ疲れた。ぼくはリクライニングシートを元の位置に戻すと軽自動車のエンジンを入れた。アクセルを踏むと車体が朝靄の中へ進み出す。時刻はちょうど午前七時半。だいぶ時間を食ってしまった。急がねば約束の時間に間に合わない。

道行く時にみえるドウダンツツジや紅葉、イチョウに桜、楓など色付く紅葉樹
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