重力アリス 〜Gravity not equality〜 第二章/月夜乃海花
たのかなぁ?」
なるほど、たしかに今は窓もドアも閉まっている。でも、普通は飼い犬が帰ってこないと心配しないのだろうか。そもそも、猫のように勝手に散歩する犬もどうかと思うが。
「わかった。ドアを開けるよ。」
私は家のドアをそっと開けた。壁にしゃがみながら。すると、椅子でゆったり座るお爺さんが暖炉の前にいた。
「おじーちゃん、ねてるね。」
すやすやとお爺さんが眠っている。非常に穏やかそうな人だ。自分の祖父とは真逆だなぁなどと思い出すも自分のことがあまり思い出せなくなっていた。過去も何も。とはいえ、その件に関しては一旦後にした。
「申し訳ないけれどこの家で少し休んでも
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