季節の境。/あらい
とその程度で善いのです。
地に飢えた種が芽吹くことはなかった。しかし大地よ、私の血肉を抱いてくださいませ。
ただ美しく散るために彩られた者たちを私は祈念する。
街路樹が騒めき出す、彩りの幸。
言の葉を透かし いっそう負けじと 天に戦いでいた賑や風が、勝手にも心地善い、永久(とわ)
独り言ちる有様情けなかろうが誰も気に留めやしない。私だけのイロハ逆巻きに、
季節は狂い座威クルイザいて幾重も実りを待ち望む。
散り散りの残影で紡がれたヒトガタのヤドリギの漂泊を、
流れつくままに往けたとしてどんなにか掬われたことでしょうか。
雛達は散り散りに毟られ阻まれ、新たな形代
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