忘れたことの仲に詩は/道草次郎
忘れたことの仲(なか)に
あるんだよね
詩は
自動記述というのが流行ったのが百年前なら
意識が流行ったのはいつのことやら
なんなら
アウストラロピテクスの頭蓋骨を
電子レンジに入れてチンしてみようかしらん
朝露をふんだんにまとった芝生のみえる道を
散歩したよ
大事なことを思い出せないなってことを
思い出しながら
ぺんぺん草というのは俗称かな
ああナズナと云うんだ
ナズナがね太く立派になったのが
廃屋の軒先の岩と岩の間から突き出ていた青空にむかって
それから
乾涸びたミミズの死骸を一疋の大蟻が跨いだのも見た
気持ち悪いよね世界
アスファルト
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