忘れたことの仲に詩は/道草次郎
ルトにめり込んで半分腐った林檎や
亀裂を隙間なく埋めつくす雑草や
黄ばんだ葡萄の病葉や
その湿っぽい裏なんかも
耐え難いよ
でもそれらがある朝の林道にもやがて昼がきて
ともかく
少なくとも水気をとっていってくれる
人間は
何世代にも亘りこういう地球のやり方に
疑問を挟まなかった所か
そこで
子供を産んで育てもした
べつに何かを言いたいんじゃない
さっき感じたことが
もうまるで
冥王代の事のようにも思えてしまうから
備忘録の字面を
賑やかにしたいだけだ
ツユクサは綺麗だったよ
ルリシジミチョウの真ん中に黄色な妖精が居た
手にとるのがなんとなくこわくて
だから
言葉で掬おうとしたんだけどやんわりと拒否された
その時
これが彼らのやり方
いや
地球のやり方なのかなって思って
なぜか
ぽっかりと安心した
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