8月14日。未日記/道草次郎
 
が、稀に黄色のものもある。黄色も黄色でたいへんつよいもので、見れば見るほど愈々この夏もぐらぐらと煮えたち、一層な眩暈を引き起こしかねない程の代物だ。

昔、このカンナの赤と黄の事を句に詠もうとしたことがある。かんがえ倦ね輾転としながらもカンナに白のないことや、赤と黄が織り成す暑苦しさの権化のごとき奇態をどうにか17文字に翻訳できないかと頑張ってみた。が、けっきょく小半日をそれに費やしてみたものの、そんな事に費やしたその小半日というものになんだか済まない気がしてきて、辞めた。だから、ぐらぐらと燃えるこの夏も闌(たけなわ)な折などは、カンナの花は空費と徒労の象徴としてしかぼくに存在し得
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